大学受験小論文「短期合格に効く重要作業=過去問分析」の行い方!

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1.過去問分析は短期合格の必須作業!

大学受験において、小論文を用いるかどうかは、人によっては1か月前などに決する人もいると思います。それは極端なケースかもしれませんが、指導経験上、3か月以内に小論文試験があるが、これまで対策してこなかったという人は存外多いと感じています。

さて、短期合格するために何から手をつけたらよいでしょうか。私がもし、指導対象の生徒からこのように質問されたら、必ず、「まず過去問分析です。数日以内に、最低5年分、できれば10年分の過去問を集めてください」とお伝えします。

もちろん、新設の大学・学部、入試制度変更で新たに導入されたという場合は、実施されてからで構いませんが、その場合は全ての年度分の収集が必要となるでしょう。

「なぜ」と問われれば、①傾向が分かり集中して準備する事柄が見えてくるから、②やらなくてよいジャンルが分かるから、と説明します。

本記事では、過去問の集め方と、実際の過去問分析を通じて上の①~②がよく分かるような内容をお伝えしていきます。

2.過去問題集め方

過去問題の入手は、第1に赤本です。出版されていれば、それを手に入れましょう。メルカリのようなフリマアプリを使えば、過年度のもが手に入る可能性があります

ただ、総合選抜などで小論文を使うケースなどですと、赤本には掲載されていなかったり、そもそも出版がなかったりするケースがあります。

そこで、第2の手段は、所属している学校や予備校の情報を確認するというのが考えられます。学校は担任や進路指導課の先生、国語科で小論文対策をしている先生に聞くと良いでしょう。予備校等とは、塾や通信教材販売会社などです。入塾などした生徒でなくても、受講相談や会員登録でも教えてもらえることもあるので、諦めずアクセスしてみましょう。

第3の手段は、旺文社から発売されている『〇〇年受験対策全国大学小論文入試出題内容5ヵ年ダイジェスト』です。これは実際の文章などは載っていないですが、出典と問われた内容が書かれていますので、過去問の雰囲気は伝わります。ちなみに、2024年度はこちらです。この本も10年になるためには過年度の本を赤本と同様にゲットしましょう。

これらを駆使すれば大抵は得られると思います。これでも難しい場合は、ダメもとで、当該大学の入試課に聞くと過去問の閲覧は可能という場合があります(第4の手段)。なぜ「ダメもと」なのかというと、第1~3の手段で手に入っていない時点で、大学側の公開が厳しいからです。また、閲覧可能となっても、平日の昼間しか難しいため、現役生を中心に、所属している学校などを休まなければならないリスクがあります。とはいえ、これしか方法がない場合は、人生もかかってますので、リスク承知で問題をゲットする行動はとった方が良いと個人的には考えます。

ちなみに、第4まで考えて行動しても得られない場合は、後はSNSなどを使うしかありません。私が過去に指導した生徒さんの中には、LINEなどのチャットグループで○○大学対策の会みたいなものに入り、そこで元合格者からどういう内容が出題されたかを知ることで情報を得た人がいました。最終手段となったら考えると良いでしょう。

.過去問分析の実際

以下は、2022年に広島大学経済学部を受験することを想定した、分析の一例です。本来は、10年分あるのですが、5年分のみを載せました。

『大学受験小論文への向き合い方が身につく本』(三恵社)p17より

いかがでしょう。こうしたまとめ方をすると、次のa~dようなことが分かりますよね。

a)制限字数が2時間で、A4判で3~5ページの分量を読み、記述する作業量が求められる。

b)小問集合的な形であるため、一題あたりの書く文字数が多いわけではない。

c)2021年から新傾向でデータが出ている。これが続くのか、一過性なの分からない。データの見方も一応学習しなければならない。

d)時々の話題となっている事象と経済用語を結び付けたような内容が出ている。

そして、以上の分析を通じ、①傾向に合わせる(→具体的には、経済ニュースや経済系の話題書をリサーチして、その内容を理解しておく。念のためデータの読み取りもしておく)②経済ネタ以外はあまり手掛けなくてOK(あくまで短期で受験に臨むため、絞らなくてはならない)などが分かります。

ここまで分かれば、その準備に取り掛かりましょう。

4.他大学類似問題トライの重要性

ちなみに、過去問は二度とその大学では出題されません。

その意味では、過去問を時間測って実際に解くというのは短期の受験対策としてはあまりコスパがよいわけではありません。

むしろ、同じような出題傾向を持つ大学などを先の旺文社本などからリサーチし、その問題に取り組むことの方が短期的には有効となります。もしかすると、他大学での出典本がそのままでることがあるからです。

一例を出しましょう。伊藤亜紗氏の『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書)の本は、2017~2021年の国公立大学2次試験だけでも以下の大学から出ています。

・岩手大学(後期ー学校教育【小学校・特別支援教育】)、2020

・福井大学(後期ー学校教育【特別支援型】)、2018

・静岡大学(後期ー人文社会科学(昼)法学)、2019

・鳥取大学(後期ー医保健)、2020

・大分大学(前期ー福祉健康科学)、2021

このように、大学教授などの出題者が、受験生に読ませたいと思う文章は同じであることが多いです。そのため、いろいろな大学で繰り返し出題されます。したがって、類似出題傾向のある大学の過去問にトライすることは短期合格に有益な行動となります。

5.まとめ

本記事では、短期合格に必須となる過去問分析のために、過去問自体の入手方法から分析の仕方、演習のやり方などをお伝えしました。

参考になれば幸いです。

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啓愉庵の管理人、ミヤン先生は、家庭教師として小論文をオンライン指導しています。過去問分析を一緒にやって欲しい、過去問分析はしたがその知識をいれるための本などが分からないなど躓いていることがあるなどの場合は、ぜひご利用ください。指導の案内はこちらです。

ちなみに、指導実績を以下にあげておきます。

*2012〜2022年の合格送り出し実績

2012~2022年の大学受験(編入試験含む)における志願書や小論文の指導(添削のみ含む)した教え子の主な合格実績校は以下のとおり。

【難関私大】※主なもの
   慶應義塾大学・上智大学・同志社大学・青山学院大学
   立命館大学・関西学院大学・法政大学・関西大学
【国公立大学】※主なもの
   京都大学・東北大学・名古屋大学・神戸大学・横浜国立大学・横浜市立大学
   岡山大学・京都教育大学・和歌山大学・香川大学・愛媛大学・高知大学
   山口大学・大分大学

受験を通じてとはいえ、大学生以降の人生で必要な書く力の養成に、今後とも微力ながら貢献して参る所存です。

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