小論文は、論文よりも文字量が少ないものの、「(自分の)意見」について、根拠をもって書くものです。
このとき、相手により伝わるように書く必要があります。では、伝わるようにするにはどうしたらよいでしょうか。これは幾つかの観点があります。例えば、一文一文の意味が明瞭であることが要求されるでしょう。あるいは、そもそも書かれた字が読みやすいということも大切といえます。
今回は、段落を適切に分けることでぐっと伝わりやすくなる話をします。この関連で、段落分けが構成をつかさどっていることにも理解いただき、小論文の構成をどうしたら良いかまで話をしていきます。受験で必要な方を中心に、参考にしていただければ幸いです。
形式段落と意味段落
まず、二種類の段落種類をおさえましょう。形式段落と意味段落です。
形式段落は、改行ごとに発生するものです。紙媒体の書物でいえば、「一マス下がっているところから、次の一マスさがっているところまで」で構成されるものですね。書き手が見やすさなどを考慮してつけているものです。
絶対のルールではありませんが、小説など特殊な文章表現が尊ばれる場合を除き、200~400字程度で1つの形式段落になることが多いです。
一方、意味段落は、文字通り意味上で区切られたものです。大抵は複数の形式段落で構成されます。
ちなみに、小論文の意味段落は、「課題の分析」、「課題に関する社会背景などの提示」「自分の意見表明」、「自分の意見が正しいことを示す(いわゆる根拠出し)」、「結論(まとめ)」などの種類があります。これらは、一部(又は全部)を組み合わせて書いていきます。
小論文は形式段落=意味段落でも構わない。
さて、先ほど私は、意味段落は複数の形式段落を大抵は含んでいると述べました。しかし、皆さんが立ち向かう小論文試験(概ね400~1600字以内で書く場合)などの場合、形式段落の数がそもそも2~5個くらいになります。
なぜかを実感していただきたいので、制限字数÷形式段落に向く字数である200~400字の平均値300で割った数値例を示してみます。いずれも、小数点第2位を四捨五入しています。
例① 制限字数800字→800÷300≒2.7
例② 制限字数1200字→1200÷300≒4
他方、小論文には、先ほど挙げた意味段落のうち、「自身の意見」「根拠出し」の2つは必須でしょう。これに、「結論」と「課題の分析」、そして「課題に関する社会背景などの提示」というのを字数的に書き込めるとなれば、意味段落数は必須だけの2~すべてを含んだ5となります。
形式段落数と意味段落数が2~5で同じ範囲内となりましたね。
だから、形式段落が意味段落でも構わないとなるわけです。
小論文構成の第1手順;「意味段落を選んで並べる」
ところで、ここまで読んで、気づいて欲しいことがあります。それは、意味段落の種類を選んで並べていくと、小論文の構成ができるということです。
例えば、「課題の分析」、「自分の意見」、「根拠出し」を使うとします。最後のまとめがてら、自分の意見を書いた方が、終わり方がしっくりくると思います。また、「課題の分析」をしてから、それをどうしたら良いかを具体的に述べる部分が「根拠出し」と同義になるはずです。
このように考えれば、「課題の分析」→「根拠出し」→「自分の意見」の順に小論文を構成していけば良いでしょう。なお、これは、小論文の王道、「序論→本論→結論」と同義です。
よく聞く構成、例えば、「PREP」あるいはハンバーガー法というものも、
①「自分の意見(Point、パンの部分)」
②「根拠出し(Reason→Example、具の部分)」
③「結論(再び自分の意見をもう一度繰り返すPoint、パンの部分」
という形で、意味段落を選んで構成しています(「PREP」は単に根拠出しをさらに2つの意味段落に分けているだけです)。
小論文構成の第2手順(完成);「形式段落としての分け方を決定」
上記3で述べたように、使用する意味段落を選んだら、後は各ボリュームの検討をします。
大抵は、「根拠出し」の部分の文字量は多くなりそうだと気づきます。そうなれば、ここだけ、形式段落を2つに分ければ良いと分かります。
もちろん、特に200~400字程度から飛び越えそうな意味段落がないのなら、形式段落を増やす必要はありません。この作業を通じ、形式段落数が定まります。
こうして、確定した意味段落の並びと形式段落としての仕切り数がみえてきたということです。後は、並びに流し込むように内容を書いていけば、小論文は読み手に「この段落は自分の意見を表明している段落で、次の段落は根拠出ししているんだな、最後は結論としてまとめているのかぁ」といった形で読みやすい文章が出来上がります。
伝わる文章化に一歩近づくわけです。
まとめ
段落には、形式段落と意味段落があります。このうち、小論文の意味段落は、「課題の分析」、「課題に関する社会背景などの提示」、「自分の意見表明」、「根拠出し」、「結論(まとめ)」などがあります。
自身が小論文を書く際には、意味段落の種類を選んで並べましょう。そして、文字数が多くなりそうな部分は形式段落上複数化します。このように、アウトラインを描けば、「小論文の構成」の完成です。このとき、読み手にとって、段落ごとの性格が分かれているので、伝わりやすい文章となります。
是非、参考に小論文の構成を組み立ててみてください。